藤澤武夫のことば

自惚れの戒め

(1958.S33.1 社報 藤澤武夫)


売り上げと利益

 

売り上げ高の多い割合には利益率は低いんだが、これはいまだウチの会社の現状で利益が多いことの方が不思議なんだ。もっともっと私達は突っ込んでコストを安くする方法を考えなくちゃならない段階にあること—言いかえれば、コストを安くすることができれば、この会社の未来は安全なんだ—ということ。


 

これは家族の皆さん方にも、ぜひ知っておいてもらいたい。 "よい企業になれば利益はいつでも得られる"これは私の信条だ。だからそのような企業にすることが、何といっても大事なことなんだ。


しかしこれだけみんなに注意してほしいと思うのだが—


個人の場合でも、その人の努力、知恵にふさわしくないほどの大金が何かの偶然の運命で手に入る。そんなときに人間は自惚(うぬぼ)れがあるんで、自分の力を過大評価しがちなもんだ。


永い将来の年月から振り返ってみると、かえって不幸にあったほどであった、というような例を年配の人なら大抵一つや二つは知っていると思う。


この事は会社でも同じことが言えるんじゃないか。個人でも、会社でも-会社というものはその個人の集まりなんだから—その点を充分理解して自惚れを起こさないで偶然のめぐり合わせがよかったぐらいに考えることができる謙虚な気持がなければ、それは進歩しない。


得てして、人間はそう思えないのが常のようだ。


利益が多いために過大に自惚れて反省を怠ったために、以前経済雑誌でその経理の優秀さをほめられていた会社でも、現在見るかげもなくなってしまったり、あるいは消え去ってしまうようになるんだから—


これは我われとしても傍観するだけでなく「他山の石」とするようにしなきゃならない。


過去にいかに功績があろうとも

 

過去にいかに功績があろうとも、指導者としては今日並びに未来に役に立たなければ、その人は指導者の方においてはいけないんだ。


これはみんなの幸福のための企業の鉄則だ。


だから指導する人であれば、たとえ社長、専務であろうと、どんなにその会社に貢献しようとも過去ばかり見ているようではダメだ。これは大切なことだ。